トレーダー目線で物事を考えた時、よく意見がぶつかることと言えば「FXは損切りするべきか、それともFXは損切りしない方がいいか」という問題。各々の立場に立って考えると、言い分としては、どちらも納得できるものがあります。このページの筆者は「FXは損切りすべき派」なのですが、今回、1年以上の月日をかけて、損切りしないFXを高額な証拠金を用いて実際にやってみました。そこで出た答えを、このページで紹介します。
FXにおける損切りの考え方
(画像1)損切りの考え方
FXトレーダーには、損切りする派と損切りしない派の考え方を持ったトレーダーがいます。それぞれに考え方について、見ていきましょう。
FXで損切りする派の考え方
(画像2)損切りするFXトレーダーの考え方
FXにおいて最も重要なことの1つは、損小利大のトレードを心がけることです。損小利大とは、損(損切り額)を小さくし、利(利益確定時の儲け)を大きくしようという考え方になります。
画像2をご覧ください。毎回、リスク:リワード=1:3になるレートでエントリーしたとしましょう。そして、その時の勝率の平均が3割だったとします。すると、「損益=リワード×3割-リスク×7割=3×30%-1×70%=0.2」という計算式が成り立ちます。損益はプラスになるので、FXでこのトレードを繰り返せば儲かることを意味し、損切りする派の考え方は正しいことが分かりました。
FXで損切りしない派の考え方
FXにおける通貨ペアとは、2国間の通貨の強弱を表しています。余程おかしな金利政策を取らない限り、長期で見れば、その通貨ペアは巨大なレンジを形成します。従って、損切りを一切せずに、含み益が出たポジションだけ利益確定をする、残ったポジションにもいつかはレートが到達するから、損切りしなければ儲かるという考え方になります。
実際に試してみた損切りしないFXのルール
(画像3)損切りしないFXルール
画像3をご覧ください。これは、実際に試してみた損切りしないFXのルール一覧になります。実際のトレードでは、損切りしないFX用の口座を分けて、主にスマートフォンを用いて、エントリーと利益確定を繰り返しました。
損切りしないFXのエントリールール
エントリーは、デイトレードの場合は欧州時間午前の前半(日本時間の夕方)とニューヨーク時間午前の前半(日本時間の夜)だけに行いました。時々、スキャルピングも行いました。エントリー時に、T/P(利益確定ライン)の設定をし、S/L(損切りライン)の設定は行いません。ポジションのロット数(枚数)は、T/P到達でも、残高の1%程度になるようなロット数に設定しました。
損切りしないFXの利益確定ルール
エントリー時に設定したT/Pに到達した場合は、利益確定をします。また、残高に対して0.1~0.5%程度の利益額でも、スマートフォンを見るタイミングで利益確定を入れて、トレードの回転数を上げました。
エントリー根拠が崩れた時の反転ポジションに関するルール
(画像4)両建てポジション
エントリー後に、上位足の値動きがエントリーポジションの方向から反転し、エントリー根拠が崩れた場合は、エントリーしていたポジションに対して、両建てポジションを持ちました。両建てポジションは、エントリーポジションに対して1:1の場合もあれば、微妙な値動きの場合は、2:1のような比率の時もありました。両建てしたポジションは、次のサポートやレジスタンスで利益確定をしました。
画像4をご覧ください。ショートと書かれたレートで、ショート(売り)ポジションを持ったと仮定しましょう。そのまま下落すれば、どこかで利益確定をします。しかし、予想に反して上昇しました。安値をブレイクした起点がAですが、そのレートを上抜けしたタイミングで、ロング(買い)の両建てエントリーをします。次のレジスタンスに到達したら、ロング(買い)ポジションだけ利益確定をします。このようなトレードをすると、最初にエントリーしたショートポジションは含み損を抱えていますが、そのうちの半分程度は、両建てしたポジションが利益確定をしているのです。従って、建値までレートが戻っても、利益を得られていることになるのです。
FXで損切りしないトレードは成立する
損切りしないという上記のFXルールを元に、FXトレードを1年以上試したところ、終始はプラスになりました。現状も含み損を抱えたポジションは残っていますが、それらのポジションを損切りしたとしても、終始は大きくプラスです。実際に損切りしないでFXをやってみたところ、いくつかの注意点が見えてきました。
損切りしないFXをやる上での注意点
(画像5)損切りしないFXの注意点
【注意点1】1トレード当たり、残高に対して0.1~0.5%の利益を積み重ねるトレードスタイルです。例えば残高1,000万円に対して、0.1%であれば利益は1万円です。しかし、残高1万円に対して0.1%であれば利益は10円です。従って、このルールに基づくと、予め高額の証拠金が必要になります。
【注意点2】FXで損切りしないということは、塩漬けポジションが増えることを意味します。その場合、毎日付与されるスワップポイントが大きな問題になります。画像5に、塩漬けになっているポジションの実際のスワップポイントを載せました。スワップだけで、874,390円のマイナススワップと91,822円のプラススワップ。マイナススワップのポジションの救済が大変なのが分かります。
【注意点3】損切りしないFXは、通貨ペアは巨大なレンジであり、レートは2度付けにくるという考え方が根底にあります。ただし、完全なる天井や底値で逆ポジションを持つと、そのポジションの救済は極めて困難になります。
「損切りすべきFX」と「損切りしない方がいいFX」の条件
損切りをするFXの場合 | 損切りしないFXの場合 | |
口座残高 | 不問 | 一定額以上の残高は必要 |
レバレッジ | 不問 | 低め |
保有ポジション | 効率的 | 塩漬けポジションが発生 |
トレードスタイル | 不問 | デイトレード、スキャルピング |
仮想通貨(現物) | 損切りするから負ける場合がある | 向いている |
損切りしないFXに関する動画
youtubeチャンネル でもチャートパターンに関する動画を公開もしています。
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