ローソク足のプライスアクションの1つに、包み足(つつみあし)と呼ばれるプライスアクションがあります。包み足は、チャートの天井圏や底値圏で発生することが多いローソク足の形状で、とても分かりやすいプライスアクション1つ。今回は、包み足について、説明します。
包み足(アウトサイドバー)とは
(画像1)包み足[アウトサイドバー]
1本前のローソク足(複数本のローソク足の場合もある)の高値及び安値を、全て包み込んでしまうローソク足のことを包み足と呼びます。別名、包み線、抱き線、あるいはアウトサイドバーとも呼びます。
包み足は、チャートの天井圏や底値圏で発生しやすいという特徴があり、FXや仮想通貨トレードをする上で、よく知られたプライスアクションの1つ。
画像1の底値圏のローソク足をご覧ください。画像1の底値圏では、陰線の安値・高値を、陽線の安値・高値が、全て包括していることが分かります。従って、画像1の底値圏では、陽線が包み足だと言えます。
包み足の終値が1本前のローソク足の高値より高いということは、下落相場の中で包み足が発生すると、反転上昇が一時的に起きたということを意味するため、底値圏で発生しやすいのです。
画像1の天井圏のローソク足をご覧ください。画像1の天井圏では、陽線の高値・安値を、陰線の高値・安値が、全て包括していることが分かります。従って、画像1の天井圏では、陰線が包み足だと言えます。
包み足の終値が1本前のローソク足の安値より安いということは、上昇相場の中で包み足が発生すると、反転下降が一時的に起きたということを意味するため、天井圏で発生しやすいのです。
複数のローソク足で包み足を構成することもある
(画像2)複数のローソク足での包み足(アウトサイドバー)
画像1では、包み足はその1本前のローソク足だけ見れば良かったですが、画像2のように、複数本前のローソク足を見て包み足だと判断することもあります。
画像2の底値圏をご覧ください。3本の陰線と、1本の陽線があります。この3本の陰線を1つの塊だと考え、3本の陰線全体の安値・高値に注目します。その後にある陽線の安値・高値が、3本の陰線全体の安値・高値を包括しているため、この陽線は包み足だと言えます。
画像2の天井圏をご覧ください。2本の陽線と、1本の陰線があります。この2本の陽線を1つの塊だと考え、2本の陽線全体の高値・安値に注目します。その後にある陰線の高値・安値が、2本の陽線全体の高値・安値を包括しているため、この陰線は包み足だと言えます。
上記のように、複数のローソク足が要因となり形成される包み足もあるのです。包み足を構成する要因にある、これら複数のローソク足は、値動きの乏しいローソク足であることが多いという特徴があります。つまり、ローソク足のヒゲも短く、ローソク足の実体も短く潰れているという特徴があります。ちなみに、画像1より画像2の方が、やや信頼度が高い包み足になります。
FXや仮想通貨のチャートで包み足が発生しやすいポイント
チャート上で包み足が発生しやすい場所は、大きく分けると以下の2ケ所です。
1.天井圏や底値圏
2.押し目のようなポイント
天井圏や底値圏で発生する包み足
(画像3)天井圏での包み足
レジスタンスやサポートラインであることが前提ですが、天井圏や底値圏で発生する包み足は、包み足の発生をもって、天井や底値の可能性が高くなったと判断できます。FXの場合はあまり遭遇することはないのですが、仮想通貨のトレードの場合は、過去最高値を更新した後に包み足が形成されたことにより、天井の可能性が出てきたと予想することができます。また、過去最安値を更新した後に包み足が形成された段階で、底値の可能性が出てきたと予想することもできます。
画像3は、2023年11月のドル円の4時間足チャートです。USD/JPY=151.95付近に2022年10月につけた高値があり、151円台後半にはレジスタンスがあります。画像3のAは、そのレジスタンスで発生した包み足で、天井圏ではこのような形で包み足が発生することが多々あります。ちなみに、分かりやすい部分で言えば、画像3のBでも包み足は発生しています。
押し目で発生する包み足
(画像4)押し目での包み足
包み足は、ダウ理論における押し目(上昇トレンド中の押し安値、下降トレンド中の戻り高値)で発生しやすい傾向があります。また、ローソク足が移動平均線と接触した位置、フィボナッチ・リトレースメントとの接触位置で発生した包み足も信頼度は高めです。
画像4は、上昇トレンド中のドル円1時間足のチャートです。上昇後に調整の売りが入っており、5時間連続で陰線が発生している局面になります。そこで、画像4の赤色の曲線すなわち20EMA(指数平滑移動平均線)と接触した位置において、包み足が発生しています。
つまり、画像4の包み足が発生したポイントは、「上昇トレンドの中であり、20EMAと接触しており、包み足が発生している」という3要素が重なっているのです。結果として、後からチャートを見ると、押し目で包み足が発生してように見えるのです。
レンジ圏における包み足の取り扱いについて
包み足は、レンジ圏でも発生することがあります。レンジ圏で発生した包み足は、天井圏や底値圏や押し目のようなポイントに比べて、精度が落ちるのでご注意ください。
但し、5分足や15分足のような短期足でレンジ圏だと思っていても、4時間足や日足で見たらレンジ圏ではなくて、天井形成や底値形成をしている最中ということもありますので、レンジ圏での包み足の取り扱いには注意が必要です。
包み足の本質的な話
(画像5)包み足の本質
包み足は、ローソク足の形状を丸暗記するだけでも全く問題ありません。
しかし、包み足がどのように形成されたか、という本質的な部分を理解しておくと、FXや仮想通貨のチャートへの理解が深まります。具体的には、包み足が形成される過程のプライスアクションを知っておくのが重要です。
画像5をご覧ください。包み足とその1本前のローソク足の値動きは、画像5のA→B→Cのような値動きをしている可能性があると考えられます。仮に、A→B→Cという値動きをしていた場合、Aという高値があったにも関わらず、そのAを超えるCのレートをつけたということで、上昇気配の強い値動きに転じたことが分かります。
そして、その上昇気配への転換は、包み足によって起こされたと考えることができ、包み足の終値がAのレートを超えたままの状態を保っていることから、上昇気配が強そうに感じ取れるのです。
(画像6)包み足の本質2
画像6をご覧ください。画像6のように、2本のローソク足は、A→C→Bのような値動きをした可能性も考えれられます。この場合、画像5のプライスアクションよりも上昇気配はやや弱いですが、市場に参加しているトレーダーは包み足が成立したことに目を向けるため、ロング(買い)が集まりやすい状況になるのです。
包み足とは、為替レートが下降している最中にも関わらず、売り勢力の勢いを止めて買い勢力が一時的に強くなったローソク足です。為替レートが上昇している最中であれば、買い勢力の勢いを止めて売り勢力が一時的に強くなったことを意味します。包み足は、明確なトレンドの転換点であるとは言えませんが、トレンドの転換点になるための種のようなローソク足だと考えることができるのです。
包み足を根拠にしたFXトレード手法
(画像7)包み足を根拠にしたトレード手法
FXの場合も仮想通貨トレードの場合も、包み足を根拠にしたエントリー手法が存在します。
画像7をご覧ください。底値圏あるいは上昇トレンド中の押し目買い目的の場合、包み足の高値を上抜けしたらロング(買い)でエントリーします。基本的には包み足の次のローソク足でエントリーすることになりますが、そのローソク足が包み足の高値を突破できなければ、更に次のローソク足でエントリーしても構いません。損切りラインは、包み足の安値を下に割ったレートに設定します。
天井圏あるいは下降トレンド中の戻り売り目的の場合、包み足の安値を下抜けしたらショート(売り)でエントリーします。損切りラインは、包み足の高値を上抜けしたレートに設定します。
欠点は、エントリー根拠が包み足だけだと、T/P(利益確定ライン)を決めることができない点です。実践的には、他のテクニカル指標に絡めてエントリーをし、T/Pの設定は他のテクニカル指標やサポート・レジスタンスで決めるのが良いです。
包み足を根拠にロング(買い)でエントリーする場合
底値圏や上昇トレンド中の押し目で、包み足を根拠にエントリーする場合はロング(買い)でエントリーします。包み足が形成されたのを確認した段階でエントリーするのも悪くはないですが、トレードの精度を上げるなら、以下をエントリー基準とします。
エントリー位置…包み足の高値を上に抜けたらロング(買い)でエントリー。つまり、包み足より1本以上後のローソク足でエントリーします。
損切りライン…包み足の安値を下に割ったら損切り。
包み足を根拠にショート(売り)でエントリーする場合
天井圏や下降トレンド中の戻り売りとして、包み足を根拠にエントリーする場合はショート(売り)でエントリーします。包み足が形成されたのを確認した段階でエントリーするのも悪くはないですが、トレードの精度を上げるなら、以下をエントリー基準とします。
エントリー位置…包み足の安値を下に割ったらショート(売り)でエントリー。つまり、包み足より1本以上後のローソク足でエントリーします。
損切りライン…包み足の高値を超えたら損切り。
包み足(アウトサイドバー)に関する動画
youtubeチャンネル でも包み足(アウトサイドバー)に関する動画を公開もしています。
コメント