FXや仮想通貨投資をする上で、様々なテクニカル指標をチャート上に表示させて、プロ仕様のチャートを追求しようとするのは誰もが通る道です。でも実際は、チャート上に表示させているだけで、テクニカル指標の本来の使い方を認知していなかったり、強気相場なのか弱気相場なのか、分かっていないなんて事もあるのではないでしょうか。
今回ご紹介するテクニカル指標は、GMMA。プロっぽい移動平均線をチャートに表示でき、トレンドの判定もしやすいテクニカル指標です。私もFX初心者の頃は、このGMMAを愛用していたものです。今回は、そのGMMAについて説明します。
GMMAとは
(画像1)GMMA
GMMAとは、オーストラリアのDaryl Guppy(ダリル・グッピー)氏が考案した有名なテクニカル指標。Guppy Multiple Moving Averageの頭文字を取って、GMMAと呼びます。
日本語では、複合型移動平均線と呼びます。GMMAは、短期のEMA(指数平滑移動平均線)6本と、長期のEMA6本、計12本のEMAを同時にチャート上に表示するのが特徴です。
GMMAの良いところは、FXや仮想通貨問わずにチャート上に表示でき、どの通貨ペア、どの時間足に対しても一定の効果が実感できる点です。そして、PCに表示させたチャートが、何だかプロっぽく見えるという魅力もあります。
GMMAのパラメーター設定
(画像2)GMMAのパラメーター設定
MT4(MetaTrader4)やMT5(MetaTrader4)には、デフォルトで多くのインジケーターが入っていますが、残念ながらGMMAは初期搭載されていません。そのため、チャートにGMMAを表示したい場合は、GMMAのインジケーターを入手して表示されるように設定するか、複数本のEMAをチャートに表示することで、GMMAと同等の機能を得ることができます。
画像2をご覧ください。GMMAは、以下の12本のEMAを表示させているだけということが分かります。
短期線…3EMA、5EMA、8EMA、10EMA、12EMA、15EMAの合計6本のEMA(数平滑移動平均線)
長期線…30EMA、35EMA、40EMA、45EMA、50EMA、60EMAの合計6本のEMA(数平滑移動平均線)
GMMAの一般的なパラメーターは、上記の通りになります。GMMAのインジケーターの設定方法が分からない場合は、MovingAverageというテクニカル指標を「MA method:Exponential」「Apply to:Close」という設定にすれば、EMAをチャートに表示することができます。
GMMAにはFXのチャートのトレンドを測る機能がある
GMMAは、12本のEMAを表示しただけのものです。それらのEMAの状態を見ることで、トレンドの方向や強さを測定することができます。
GMMAの長期線(6本のEMA)を見てトレンドの方向を測定する
(画像3)右肩上がりのGMMA長期線
画像3は、ポンド円1時間足のチャートです。そのチャートに、GMMAの長期線6本を水色のラインで表示しました。
画像3において、白色の矢印で区切った区間は、全ての長期線が右肩上がりになっています。右肩上がりになっているこの区間は、上昇トレンドであると言えます。
(画像4)右下がりのGMMA長期線
画像4は、ポンド円1時間足のチャートです。そのチャートに、GMMAの長期線6本を水色のラインで表示しました。
画像4において、白色の矢印で区切った区間は、全ての長期線が右肩下がりになっています。右肩下がりになっているこの区間は、下降トレンドであると言えます。
GMMAを構成する12本のEMAの並び順を見て、トレンドの強さを測定する
(画像5)GMMAの並び順
FXのチャートにGMMAを表示させると、上昇トレンドの場合、上から、3EMA、5EMA、8EMA、10EMA、12EMA、15EMA、30EMA、35EMA、40EMA、45EMA、50EMA、60EMAという順番にEMAが並びます。下降トレンドの場合は並び順が逆。すなわち、下降トレンドの場合は、下から、3EMA、5EMA、8EMA、10EMA、12EMA、15EMA、30EMA、35EMA、40EMA、45EMA、50EMA、60EMAという並び順なります。
このように、EMAが数値順に順番に表示される場合は、強いトレンドであることが分かります。画像5の「順番に並んでいる」と記載したエリアは、GMMAのパーフェクトオーダーが発生しています。
それに対して、一時的にトレンドが弱まると、短期線の並び順が変化します。画像5の「順番に並んでいない」と記載したエリアは、一時的にトレンドが弱まったエリアになるのです。
GMMAの短期線と長期線の隙間を見て、トレンドの強さを測定する
(画像6)GMMAの隙間を見てトレンドの強さを測定
チャート上にGMMAを表示すると、短期線と長期線の間に空白地帯(隙間)が発生することがあります。この隙間を見れば、トレンドの強さが分かります。
GMMAの短期線と長期線の隙間が広い場合…強いトレンド形成
GMMAの短期線と長期線の隙間が狭い場合…弱いトレンド形成
GMMAの短期線と長期線の隙間が無い場合…レンジ圏、トレンド転換の可能性が発生している状態
画像6をご覧ください。黄色で塗りつぶした部分が、短期線と長期線の間の隙間を表しています。このように見ると、トレンド中なのか、トレンド転換の可能性が出てきているのか、一目瞭然で分かりやすいと思います。
強いトレンドが発生している場合のGMMAを使ったトレード手法
(画像7)強いトレンドでのGMMAを使ったトレード手法
FXや仮想通貨において、GMMAを使ったトレード手法をご紹介します。チャートにおけるトレンドの強弱によって、トレード手法が少し異なります。まずは強いトレンドが発生している時のGMMAを根拠にしたトレード手法から紹介します。
強いトレンドが発生しているという条件定義
以下の条件を満たした場合、強いトレンドが発生していると考えます。
エントリーポイント
強いトレンドが発生している場合、トレンド方向に合わせて順張りでエントリーします。上昇トレンドであれば、順張りのロング(買い)。下降トレンドであれば、順張りのショートでのエントリーになります。
エントリーのタイミングは、ローソク足が、GMMAの短期線の中でも特に短期のEMA(3EMAや5EMAや8EMA)に当たったポイントにすると良いでしょう。3EMAか5EMAか8EMAかは、個々のトレードスタイルによるので好みで構いません。
画像7で言えば、Aの位置付近でエントリーします。GMMAがパーフェクトオーダーの配列になっており、短期線と長期線の間に隙間があるためです。付け加えて言えば、短期でサポートされているライン(強いサポートラインではありません)を割っているため、ショートでエントリーしやすい状況が整っています。
利益確定及び損切りライン
強いトレンドだと判断した場合、ローソク足の実体が15EMAをまたいだ時に、EXIT(利益確定もしくは損切り)します。つまり、上昇トレンドであればローソク足の実体が15EMAを割り込んだ時で、下降トレンドであればローソク足の実体が15EMAを超えた時に、利益確定もしくは損切りをします。
画像7をご覧ください。ポンド円が下落中に、画像7のBのレートで15EMAに接触しました。このBのポイントで利益確定をしても良いのですが、ローソク足の実体は15EMAを超えていないので、15EMAをローソク足が初めて上抜けした画像7のCで利益確定するのがオススメです。
もう少し様子を見て利益確定をしたい場合には、ローソク足が30EMAに接触した段階、あるいはローソク足実体が30EMAをまたいだタイミングで利益確定するのも悪くありません。
画像7でいえば、Dがローソク足の30EMA接触のタイミング、Eがローソク足の30EMA突破のタイミングです。
通常のトレンドが発生している場合のGMMAを使ったトレード手法
(画像8)通常トレンドでのGMMAを用いたトレード手法
次に、よくある強さの通常のトレンドが発生している場合について説明します。
通常トレンドが発生しているという条件定義
以下の条件を満たした場合、通常のトレンドが発生していると考えます。
エントリーポイント
レートが、GMMAの長期線と交差した位置でエントリーします。上昇トレンド中はロング(買い)でエントリー、下降トレンド中はショート(売り)でエントリーします。要するに、長期線と交差した位置は、上昇トレンドであれば押し目、下降トレンドであれば戻り高値だと認識するのです。
画像8においては、A~Eがエントリーポイント。ピラミッディングを用いて、A~E全てでポジションを持つのも良い選択だと思います。
利益確定及び損切りライン
EXIT(利益確定もしくは損切り)は、レートが60EMAを跨いだ部分にするのが無難でしょう。
60EMAをローソク実体が割り込んだ場合に利益確定というルールで運用すると、画像8では、A~Eでエントリーし、「利益確定」と書かれたポイントでA~Eのポジションを全て利益確定します。
60EMAにローソク足が接触した場合に利益確定というルールで運用すると、画像8では、Aで持ったロングのポジションをBで利益確定。C~Eで持ったロングのポジションを、「利益確定」と書かれたポイントで利益確定という意味になります。
レンジ圏の場合のGMMAを使ったトレード手法
(画像9)レンジ圏でGMMAを根拠にしたトレード手法
GMMAとは、EMAを12本表示したテクニカル指標です。トレンドフォロー型のテクニカル指標なので、レンジ圏が弱点になります。但し、レンジ圏であっても特定の条件を満たした場合に限り、トレード手法が一応存在します。
レンジ圏でGMMAを根拠にトレードする場合の特定条件
レンジ圏では、GMMAを根拠にしたトレードは避けた方が良いと思います。但し、以下の特定条件を満たす場合は、一応トレードは可能です。
エントリーポイント
GMMAの長期線と短期線が上下に何度も入れ替わっている場合、そのチャートはレンジ圏にいる可能性が高いと言えます。レンジ圏において、なぜ長期線と短期線が交互に入れ替わるかというと、チャートに表示している通貨の直近の値動きの方向性が定まっていないからです。
その状態において、GMMAの長期線を短期線が下から上に抜いてレートが上昇した場合に、ロング(買い)でエントリーします。逆に、GMMAの長期線を短期線が上から下に抜いてレートが下落した場合に、ショート(売り)でエントリーします。いわゆるゴールデンクロス・デッドクロスの状態が成立している状態になります。
利益確定及び損切りライン
上記の特定条件とは、レンジが崩れた可能性がある事をGMMAを根拠に予測し、その後に発生するトレンドの値動きから利益を取りに行くためのエントリー手法です。トレンドが発生した根拠としては弱いですし、トレンドが発生していてもどこまでトレンドが続くかはわかりません。
そのため、早めに利益確定や損切りをするのが重要だと考えます。具体的には、15EMAに接触した段階で、利益確定をするのがオススメです。画像9でいえばBのレートで利益を確定します。30EMA接触で利益確定でも構いませんが、レンジ圏でのエントリーの場合は、騙しと呼ばれる値動きが発生することがあるため、気をつけた方が良いと思います。
GMMA(複合型移動平均線)に関する動画
youtubeチャンネル でもGMMAに関する動画を公開もしています。
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