FXや仮想通貨のトレードにおいて、ローソク足を用いた有名な手法の1つに、ピンバーを使ったトレード手法があります。ピンバーは専門の知識がほとんど不要な、実際のFXトレードに使うことができる便利な手法の1つです。今回は、そのピンバーについて解説します。
ピンバー(Pin bar)とは
(画像1)ピンバー(Pin bar)
ピンバー(Pin bar)とは、長いヒゲと短いローソク足実体で構成された、ローソク足の形状のことを指します。
正式名称は、ピノキオバー(Pinocchio bar)。略称がピンバーになります。ピンバーのローソク足の形状が、ウォルト・ディズニーのアニメに登場するピノキオの鼻に似ていることから、ピノキオバーと呼ばれるようになりました。
(画像2)ローソク足の実体とヒゲ
ピンバーには、陽線のピンバーと陰線のピンバーがあります。また、トレンドの転換点(天井圏、底値圏)や、サポートやレジスタンスで発生しやすい傾向があります。
FXのローソク足を使った手法で使う上でのピンバーの定義
ピンバーとは、長いヒゲと短いローソク足実体を持つローソク足を指します。そのピンバーを使ったFXのトレード手法において、全てのピンバーが有効かというと実はそうではありません。
ピンバーのヒゲの長さ、ローソク足全体に対するローソク足実体の比率については、人それぞれ長さや短かさの判断基準が異なります。従って、ピンバーを根拠にトレードをしようとした場合、ピンバーという定義を明確にした方が良いものだと考えます。
比率によるピンバーの定義
(画像3)理想のピンバーと悪いピンバー
当サイトでは、ピンバーを根拠としてFXや仮想通貨のトレードをするなら、ピンバーの定義は以下にします。
【理想のピンバー】ローソク足実体の長さ:ヒゲの長さ=1:3 を超えるもの
【最低限ピンバーと呼べるもの】ローソク足実体の長さ:ヒゲの長さ=1:2 を超えるもの
画像3のBのピンバーは、ローソク足実体の長さ:ヒゲの長さ=1:2なので、最低限の条件を持ったピンバーです。画像3のCのピンバーは、ローソク足実体の長さ:ヒゲの長さ=1:3、Dのピンバーは、ローソク足実体の長さ:ヒゲの長さ=1:6、Eのピンバーは、ローソク足実体の長さ:ヒゲの長さ=1:12なので、理想のピンバーであることが分かります。
ピンバーは、ヒゲの長さが長ければ長いほど、信頼度が高いピンバーになります。つまり、画像3においては、CのピンバーよりもDのピンバー、DのピンバーよりもEのピンバーの方が、信頼度が高いピンバーであると言えます。
また、時間足が長期であればあるほど、信頼度が高いピンバーになります。言い換えると、15分足で発生したピンバーよりも、4時間足で発生したピンバーの方が、信頼度が高いピンバーだと言えます。
ちなみに、画像3におけるAのピンバーは、ピンバーというローソク足を使ったFXトレード手法においては悪いピンバーというだけで、ピンバーである点は違いありません。他のインジケーターと併用するのであれば、Aのピンバーを参考にするのは悪くないと思います。
FXにおいて、ピンバーが有効である理由
FXのチャートを見ていると、特徴的なローソク足には、ついつい目がいくものです。ピンバーは、長いヒゲを持つローソク足だという特性から、誰もが注目しやすいという特徴があります。
そして、そのピンバーを見ると、FXトレーダーの多くは、高値もしくは安値が否定された痕跡の可能性があると判断します。従って、ピンバーを見ると、大衆心理が買い目線、売り目線に傾くことから、ピンバーは有効だと言えます。
また、上ヒゲ(ヒゲがローソク足の上部に伸びたもの)を持つピンバーは、そのローソク足単体で見た時に、高値を試したが否定されたと捉えることができます。逆に、下ヒゲ(ヒゲがローソク足の下部に伸びたもの)を持つピンバーは、そのローソク足単体で見た時に、安値を試したが否定されたと捉えることができます。
チャートから、こういった心理を読み取ることができるため、ピンバーは有効なのです。
ピンバーを用いたFXトレード手法
ピンバーのみを根拠にエントリーすることは可能です。ここでは、ロング(買い)の場合とショート(売り)の場合のエントリーについて見ていきましょう。
ピンバーを使った、ロング(買い)のエントリーと損切り方法
(画像4)ピンバーを用いたロングのエントリー手法
ピンバーを根拠にロングでエントリーをしたい場合は、以下のルールでエントリーを行います。
- 下ヒゲがあるピンバーを根拠にすること。
- ピンバーの終値が確定した後、そのピンバーの高値を超えたレートでエントリーをすること。
- 時間足は何分足でもOK。長い時間足の方が精度は高くなります。
- できれば、陽線のピンバーであること。
損切りラインは、根拠としたピンバーの安値を割った位置になります。
(画像5)ピンバーを根拠にした実際チャートのロングエントリー
画像5は、実際のチャートにおけるピンバーの発生箇所です。4時間足でのピンバーであり、ロングでエントリーできる条件が整っていることが分かります。
ピンバーを使った、ショート(売り)のエントリーと損切り方法
(画像6)ピンバーを用いたショートのエントリー手法
ピンバーを根拠にショートでエントリーをしたい場合は、以下のルールでエントリーを行います。
- 上ヒゲがあるピンバーを根拠にすること。
- ピンバーの終値が確定した後、そのピンバーの安値を割ったレートでエントリーをすること。
- 時間足は何分足でもOK。長い時間足の方が精度は高くなります。
- できれば、陰線のピンバーであること。
損切りラインは、根拠としたピンバーの高値を超えた位置になります。
(画像7)ピンバーを根拠にした実際チャートのショートエントリー
画像7は、実際のチャートにおけるピンバーの発生箇所の一部です。4時間足でのピンバーであり、ショートでエントリーできる条件が整っていることが分かります。
画像7の最初のピンバー発生位置でショートのエントリーをすると、最大で約250pipsの利益が得られた可能性があります。但し、利益確定を的確にしないと、その後数日かけた上昇で損切りになることが分かります。
画像7の2回目のピンバー発生位置でショートのエントリーをすると、Xが損切りラインとして設定されます。この場合は、何日もポジションを保有していても、損切りにかかっていないことが分かります。ピンバーは、天井圏だけでなく、急落直前の挙動としても探知されることがあるので、注意深くローソク足を見てみると良いでしょう。
ピンバーにおける重要なこと
ピンバーは、ローソク足における、プライスアクションの1種です。ピンバーのみを根拠にして、FXのトレードも可能ですが、他のエントリー根拠も併用してトレードをすることにより、トレード勝率は上がります。
ピンバーを使ったトレードは、エントリーのタイミング、損切りのポイントは決まっていますが、利益確定ラインは決まりません。その点を理解した上、FXをすることを推奨します。
ピンバーに関する動画
youtubeチャンネル でも、ピンバーに関する動画を公開もしています。
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